立本夏山・担当回

デモンストレーションする立本夏山(たちもとかざん)

デモンストレーションする立本夏山(たちもとかざん)

立本にとっての演劇がシンプルである分、俳優に対して伝えられたことや、場でなされたことの的確さを言うことができる。伝えられるべきことは少ないので、場で俳優がすることへの悩みが少ない(的確に伝えられている)。

キサラ。閉塞感にもがくような動き

キサラ。閉塞感にもがくような動き

立本は、「自分の心から自分の身体を通してどれだけ自分の真実に見ているひとを引き込めるか」を、俳優の仕事と考える。「自分の真実」を、「信じる」。それを自分の身体をつかってやってみる。立本のデモンストレーションからはじまり、参加者4人がそれぞれソロで行い、ひとりずつ立本および他の参加者の感想を交える。残りの30分は、全員で、出入り自由のセッションの形式を取った。またそれぞれのソロのとき、パフォーム中にも立本から話しかけることがあり、それによって別の局面が生まれていた。

牧。立本に途中、「いまやってるのは、真実だと思ってやってるの?」と問われ、「めちゃくちゃ動揺して、疑いなおす時間ができて」 「じぶんのなかにたくさん時間ができて」とのこと

牧。立本に途中、「いまやってるのは、真実だと思ってやってるの?」と問われ、「めちゃくちゃ動揺して、疑いなおす時間ができて」 「じぶんのなかにたくさん時間ができて」とのこと

留意されていたのは、「自分の真実」「体感」をどれだけ「信じられるか」ということである。「体感」によって信じられた「真実」は、それを観る観客にも「真実」として受け取られ、双方の「体感」を通じて伝達されるものが、(立本にとっての)演劇の本質であると言える。ここでは、この構えが成立しない要因が探られた。

依田「真実ってなんだろうって考えて、信じきれない」

依田「真実ってなんだろうって考えて、信じきれない」

たとえば「俳優」であるために「人前でやることに慣れ」、「これが真実と思ってるものにも慣れ」てしまうことの「惰性」を問うたり、「真実とはなにか」を考えるのではなく、「信じる」ことを促したり。

小林。迷いがなく見える。このあと窓を開けて、そのうち飛び降りそうで怖かった(飛田の感想)

小林。迷いがなく見える。このあと窓を開けて、そのうち飛び降りそうで怖かった(飛田の感想)

なにを共有しえているのかが、言葉のない(少ない)分、はっきりと出てくるように思われる。「(じぶんの真実を)信じればできる」という俳優の本質を、(導入として)探るためのトライアルであること。いま、できなくとも、「なぜ、できないのか」は、課題として持てる。ある種の修行のように捉えて、ここでは、そのときどきの局面から判断するための問いが渡されていたといえるだろう。

セッションでは、(ソロの時よりも)俄然のびやかさがあった

セッションでは、(ソロの時よりも)俄然のびやかさがあった

記録チーム 飛田ニケ


【立本 夏山 Kazan Tachimoto】

1982年6月7日生まれ。静岡県清水市出身。18歳にて文学座演劇研究所に入所。その後、劇団四季研究所、流山児☆事務所、俳優座演劇研究所を経て重力/Note、新宿梁山泊、燐光群、小池博史の作品などに出演。2011年よりひとり芝居を始め、ペソア、アルトー、太宰治、谷川俊太郎などの作品を舞台化。2014年Arts Chiyoda 3331 伊藤千枝賞受賞。2016年フランス、アヴィニヨン演劇祭にてアンジェリカ・リデル演出作品に出演。その後世界各国を巡演。2018年には高村光太郎作「智恵子抄」で国内4都市ツアーを実施。2019年4月よりドストエフスキー、ロルカ、ネルーダなどを題材とした12ヶ月連続ひとり芝居企画を開始する。