小林玉季・担当回

「〈Ship〉Ⅲ 」初日は恒例の「私にとっての演劇」でスタートしました(私はshipに初めて参加しましたが)。

私からはトップバッターの小林玉季(こばやしたまき)さんの「私にとっての演劇」の様子をお伝えしようと思います。

小林玉季(こばやしたまき)さん

小林玉季(こばやしたまき)さん

まず私たちは屋上に集合しました。

小林さんにとって屋上は前回ウォーフに訪れたときの憩いの場だったそうで、持ち時間2時間の「私にとっての演劇」を始める前に、せっかく天気も良かったので訪れたかったとのこと。

私たちは小林さんから日本酒と麦茶を振舞ってもらいました(我々記録係とプログラム・ディレクターの鹿島さんは日本酒をもらいましたが俳優の皆さんは麦茶でした)。

俳優たちはそこでそれぞれ小林さんから役割を振られました。依田 玲奈(よだれいな)さんはスタジオに音楽をかける係、キサラ カツユキさんは数冊の本の中からときめいた単語があれば叫ぶ係、牧 凌平(まきりょうへい)さんは小林さんが持ってきたものやその場にあるものを空間に配置する係。

そこからスタジオに移って本番に入りました。

まず俳優たちによる空間作りが始まりました。依田さんが音楽をかけ始め、小林さんと牧さんはものを空間に配置していきます。ハンガーラックや椅子、バケツ、モップ、ホワイトボードなどを置き、そこにガムテープを張り巡らしました。牧さんがガムテープを小林さんの体に巻きつけ始め、小林さんはダンス的な身体で動き始めます。そこからは小林さんが時空の舵をとりながらも俳優たちは能動的に動き(明らかに俳優としての自覚をもって)、干渉し合い、時間は進んでいきます。

牧 凌平(まきりょうへい)さん

牧 凌平(まきりょうへい)さん

キサラ カツユキさん

キサラ カツユキさん

依田さんがケータイからかけていた音楽を止めてピアノを弾き始めたり、いつからか依田さん・キサラさん・牧さんは自ずと役割を交代し出しました。

依田 玲奈(よだれいな)さん

依田 玲奈(よだれいな)さん

小林さんも言葉を発し始め、他の俳優たちと会話し始めます。昔磁石で砂鉄を集めて遊んだ話などから始まり、最後の方では、数直線的な固有時(時計時間)は西洋からきた考えでありその前まで東洋の時間の概念はそれぞれの人間によって知覚される時間(出来事時間)(時計時間では同じ時間でも人によって長く感じる・短く感じるというような)であったという話を始めます。そして小林さんは時計時間を横、出来事時間を縦と定義した上で「私がやりたいのは縦の時間を作ることかもしれない。私にとっての演劇は縦の時間かもしれない。」と話しました。

最後は小林さんが自分で音楽を止め、動くのをやめ、それを感じとった他の俳優たちも止まりだし、2時間に渡る小林さんの「私にとっての演劇」は終了しました。

俳優の集まりだからこそできた即興的で挑戦的な関わり合いと、小林さんの身体能力・時空を操る能力の高さ(同時に俳優たちの空気を感じる能力の高さ)が伺えた2時間でした。

小林さんのふりかえりメモ

小林さんのふりかえりメモ

記録チーム 馬淵悠美


【小林 玉季 Tamaki Kobayashi】

1991年11月16日11時16分、O型の父とO型の母の間に生まれる。さそり座の女。劇場を中心に活動していたが、劇場の外との対話から生まれる作品に興味を持ち始め、劇場の外ではとどまらず、好奇心のままに国外へ。そのうちに、日本・台湾・インドネシア、シンガポールのメンバーからなる、身体、精神、思考、創造の角度から一人一人のウェルネスをデザインする多国籍集団(5ToMidnight)と活動するようになる。2020に起きたこの出来事により、心の世界と身体の世界の関係に興味を持ち、幸せと健康を創造できる人間になるべく、現在は瞑想、ヨガ、仏教哲学、脳科学、解剖学を勉強中。